ダイエットは完璧でなくてもいい

前回の投稿でダイエットの基本をご紹介したついでに、肥満症とその治療について紹介しようと思っていました。
しかし、ガイドラインを読むと「完璧超人でないと遵守できないのでは?」と思うようになったのです。

肥満症とは

日本肥満学会では「肥満」と「肥満症」を区別しています:

●肥満: 脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)* ≥ 25
●肥満症: 肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか**、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態
(日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』より抜粋)

*体格指数(BMI)は肥満度の国際的な指標。BMI (kg/m2) = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m) で表す。
**内臓脂肪型肥満(腹部CT検査によって内臓脂肪面積 ≥ 100 cm2)と診断される場合は、現在健康障害を伴っていなくとも、肥満症と診断する。
40–74歳の方は健康診断でウエストサイズを測りますよね。あれは「特定健康診査(いわゆるメタボ健診)」の一環として、内臓脂肪型肥満の方をふるいにかけています。

「健康障害によってQOL: 自分の生活や人生の満足度を損ねます。だから治療しましょう」というわけです。
25 ≤ BMI < 35の方は体重の3%を、35 ≤ BMIの方は体重の5–10%を3–6か月で減らすことを当面の目標としています。
筆者の身長 = 175 cmで考えるとこんな感じです:
BMI = 25 ⇒ 体重 = 約77 kg から 約74 kg (BMI = 約24.3)に
BMI = 35 ⇒ 体重 = 約107 kg から 約99 kg (BMI = 約32.4)に (体重の7.5%減として)

この目標、きびしくない?

治療の基本となる食事療法が厳しい(少なくとも筆者には)。
摂取エネルギー量を、目標体重(kg) × 25 (kcal)以下にするのが目標です。
これ、基礎代謝量に毛が生えたくらいの量です。これまで過食による肥満だった場合は、長い時間、空腹を感じると思います。ネプチューンマンみたいな完璧超人でないと遵守できないのではないでしょうか。
幸いにして、こんな記述もあります。

実臨床では(中略)目標量と、実際の摂取エネルギー量とのあいだに大きな乖離がある場合もしばしば見受けられ、一律に(中略)量の遵守を促すことが現実的ではない場合もある。(中略)特性に応じて、個々の肥満症患者に適した摂取エネルギー量を選択する。

肥満症診療ガイドライン2022 (日本肥満学会)

※「個々に適したエネルギー量を選択する」ことを促しているだけです。「量を遵守しなくても減量できる」わけではありません。都合よく読み間違えないようご注意を。

つらいダイエットは続かない

筆者は以前、いわゆるメタボ健診の結果、動機づけ支援を受けたことがあります。腹囲と空腹時血糖値がわずかに基準を上回っていました。
ストイックに改善に取り組み、3か月で約6 kgの減量(74 → 68 kg)に成功。血液データも基準値の範囲に戻すことができたのですが、とにかく辛かったことしか記憶にありません。
空腹感や、そこから来る気分の落ち込み。何をやっても楽しくない。支援者との面談で職場の別室に呼び出されることを、とても恥ずかしく感じました(今にして思えば自意識過剰……支援されるうちが華です)。

Many healthcare providers hold strong negative attitudes and stereotypes about people with obesity. There is considerable evidence that such attitudes influence person-perceptions, judgment, interpersonal behaviour and decision-making. These attitudes may impact the care they provide.
(拙訳)多くの医療従事者が、肥満者に対して強い否定的な態度や、固定観念を抱いている。そういった態度が、他者に対する認識、判断、対人行動や意思決定に影響することを示す相当な数の根拠がある。これらの態度は、彼/彼女らが提供するケアに影響を及ぼすかもしれない。

Impact of weight bias and stigma on quality of care and outcomes for patients with obesity (Phelan et al 2015)

こんな生活、いつまでも続けられるわけがありません。

「いい加減」が「いい塩梅」

カラダづくり全般に言えることですが、ダイエットって「継続は力なり」です。
あくまで「筆者の経験的に」ですが、完璧主義者や「0か100か」思考の方は、ダイエットとの相性がよくないように思います。
1食でも食べすぎてしまう → 数百グラム体重が増えると「私はやっぱりダメなんだ、ダイエットなんて無理!」といってあきらめてしまうような方、あなたの周りにいませんか?

数百グラムの増えた減ったは、ほぼ水分の出し入れによるものです。トイレに行ったりお茶を飲んだりすれば元に戻ります。減量において、体重測定1回ごとに一喜一憂することほど、ムダなことはありません。「1週間平均で減っていればOK」くらいのいい加減さ、おおらかな気持ちで取り組んでほしいと思います。

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