スポーツによるケガを予防する

9月初めの峠走の後、しばらくの間、ふくらはぎが痛かったんです。
6 km上って6 km下るコースです。

峠走のコースの例。このコースでは6キロのぼって6キロくだる
半田山(福島県桑折町)のふもと発着 全長12 km

終了後は「いつもよりふくらはぎが張ってるなあ」くらいの感覚だったのですが、翌朝には歩くことにも難儀するような、ひどい筋肉痛に。
「まあ1–2日でよくなるだろう」と高をくくっていました。10日かかりました。ひょっとすると、ごく軽度の肉離れだったかもしれません。

今回は、筆者のようにならないための、スポーツ傷害の予防について。
スポーツを楽しむ方、競技者、特に指導者に知っておいていただきたいと思います。

スポーツ傷害とは

スポーツによる運動器の外傷(スポーツ外傷)と、慢性的な障害(スポーツ障害)を総称して、スポーツ傷害といいます。

  • スポーツ外傷……骨折、ねんざ、脱臼など
  • スポーツ障害……疲労骨折、野球ヒジ、腸脛靭帯炎など

スポーツ外傷は大きな外力によって、スポーツ障害は主に使いすぎによって起こります。
いずれの場合も、継続的なトレーニングを一時休止することになります。

何をすれば予防できるか

何をすればどれだけスポーツ傷害を予防できるか、という研究をご紹介します。
4種類の運動 = (1)ストレッチング、(2)固有受容感覚トレーニング(いわゆるバランストレーニング)、(3)筋力トレーニング、(4)他要素(この3つのうち2つ以上の組み合わせ)が、それぞれどの程度スポーツ傷害のリスクを下げるかを調べたものです。
次の図は、何もしない場合のリスクを1として、それぞれの運動を行ったときのリスクを表しています。左へ行けば行くほどリスクが低いということです。

スポーツ傷害を防ぐ効果。ストレッチングに傷害を防ぐ効果はない。筋力トレーニングが最も効果が高く、約3分の1までリスクを低減できる。

The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials (Lauersen et al 2014)より筆者作成

バラつきはあるものの、筋トレが最もケガのリスクを下げることが読み取れます。何もしない場合と比べて、おおよそ3分の1まで下げてくれます。固有受容感覚と他要素は、だいたい5–6割まで下がります。
一方、ストレッチングには、ほぼ効果がないこともわかります。

ただし、この研究の結論だけで「筋トレさえやっておけば大丈夫!」「ストレッチなんか必要なし!」とはいかないでしょう。例えば、以前にご紹介した足底筋膜炎は、ストレッチによる予防が見込まれます。
実際、この論文内でも

We advocate that multiple exposure interventions should be constructed on the basis of well-proven single exposures and that further research into single exposures, particularly strength training, remains crucial.
(拙訳)私たちは、他要素の介入が、十分に実証された個別の要素(ここではストレッチ、バランス、筋トレ)から築かれなければならないことと、個別の要素、特に筋力トレーニングについてはさらなる研究が依然として極めて重要であることを提唱する。

と述べています。

とは言え、筋トレをするとリスクが1/3まで下がるのは魅力的ですね。

筋トレは価値あり

ケガをすると練習を積めない、試合に出られない、試合に出てもコンディションが悪い(戦力ダウン)など、望ましくない結果につながります。競技練習の次に優先して行う価値はありそうです。
いかがでしょうか。やってみたくなりませんか、筋トレ。

ちなみに: この投稿ではスポーツに関する研究をご紹介しましたが、筋トレやバランストレーニングは、ご高齢の方の転倒予防にも強力な効果を発揮します。若年層から中年層の日常生活におけるケガ予防については研究数が少ないようで、今回調べた範囲ではわかりませんでした。「転倒につながる要素」としての筋力やバランス能力が改善することはハッキリとわかっています。

事実に基づいて、効果のあることだけを。
こんなジムでよろしければ、ぜひお立ち寄りください。

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