体幹トレーニングの効果は限定的
ずいぶん昔の話です。筆者の同僚に、身体能力をすぐに体幹と結びつける人がいました。
体幹と無関係な場合でも、クライアントが運動中によい動きをしていると「さすが!体幹が強い!」、ほめるときも「●●さんは体幹がしっかりしてますね~」といった具合。
内心で(変な人だなあ)と思っていたのですが、もしかしたら幼い頃に体幹に飢えていたとか、体幹のせいで恋人と別れたとか、オブセッションを抱くような経験があったのかも。
いったい私は何を言ってるんでしょうか。
体幹とは
軽くスベったところで体幹の定義です。
体幹 = 身体から頭部と四肢(腕と脚)を除いた部分のことです。下図の青い線で囲った部分です。

「体幹トレーニング」という場合の体幹は、上図の黄色い線で囲った部分を重視することが多いと思います。
横隔膜、腹横筋、脊柱起立筋群や骨盤底筋群などのインナーマッスルに囲まれた部分です。
体幹トレーニングとは

体幹トレーニングは、体幹の安定性を高めるようなトレーニングです。
「プランク」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。手軽に取り組めるトレーニングの典型ですよね。
でも「体幹トレ = プランク」ではありません。プランクは体幹トレのごく一部です。
体幹トレは、大きく次の4種類に分けることができます。
- 抗伸展(腰が反らないようにする)……プランク、腹筋ローラーなど
- 抗屈曲(背中が丸まらないようにする)……スパインヒップリフト、ヒップヒンジ系種目など
- 抗側屈(横に倒れないようにする)……サイドプランク、片手ファーマーズウォークなど
- 抗回旋(ねじれないようにする)……パロフプレス、片手ダンベルベンチプレスなど
体幹トレがプランクだけではないことが、おわかりいただけると思います。
体幹トレーニングの効果
上記のようなトレーニングを積むと、腹横筋などの筋力が高まり、体幹の安定につながります。
日常生活では、姿勢がよくなったり、腰痛を改善したりする効果があります。
慢性非特異的腰痛(原因が特定できない腰痛)への体幹トレ(ピラティス、安定性トレーニング、レジスタンストレーニング)の効果を比較した研究から引用します:
All three core training modalities demonstrated significant improvements in pain relief compared to controls.
(中略) Although the effect sizes for Pilates, core stability training, and core resistance training showed numerical differences, the statistical comparison did not reach significance for improving pain and functional status.
(拙訳)ピラティス、体幹安定性トレーニング、および体幹レジスタンストレーニングの3種類すべてで、対照群と比べて痛みは有意に改善した。
(中略)効果量の違いはあるが、3種類の間で痛みの改善および機能の改善に関する有意差はなかった。
また、バランス能力が改善するため、転倒しにくくなる可能性があります(体幹トレ単体で防げるわけではない)。
一方、スポーツの競技力を直接向上させるかについては、研究間のバラつきが大きく「よくわからない」ようです。種目によって重要性が異なるのではないでしょうか。
すべてを解決する魔法ではない
体幹トレは万能薬ではありません。やせません。お腹はへこみません。代謝もよくなりません。ケガや病気を予防できるかわかりません。競技力が高まるかも不明です。
それらを理解した上で、体幹トレを行うか?行うならどんな種目にするか?を決めていただきたい、と筆者は考えています。
身体を動かそう、トレーニングしてみようという心がけはとても貴重なものです。
しかし、どなたにとっても時間は有限です。せっかくトレーニングするなら、ご自身のためになることをしたいとは思いませんか?
難しいことはしない。効率的に、確かな効果を。
こんなジムでよろしければ、ぜひお立ち寄りください。

